A Question of Power



London: Davis-Poynter, New York: Pantheon1973, London:Heinemann 1974


ヘッドの自伝的作品。
南アフリカの精神病院で黒人の父親と白人の母親の間に誕生する
カラードの娘エリザベスElizabeth。
13歳のとき孤児院の院長である宣教師に「あなたの本当の母親は狂人である。」と
出生の秘密を告げられた彼女は、トラウマを抱えながら南アフリカに帰国を許さない
出国許可証を持ち、ひとり息子とボツワナへ亡命する。
ボツワナの農村生活で孤独と貧困から精神を病み、
やがて現実と幻想が彼女の中で交錯し始める。
善と悪の象徴、アパルトヘイトの悪夢、農村の実態などがエリザベスの悪夢となって彼女を苦しめ、カラードの彼女は自己のアイデンティティを問われることになる。
セロSelloとダンDanという二人の男の姿で描かれる
決して二分できない善悪の「力の問題」を通して、
南部アフリカ社会の現実を浮き彫りにしていく、非常に複雑で「型破り」な作品である。


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