Bessie Head's Works... |
<Works by Bessie Head> 各タイトルをクリックすると詳細ページ(アマゾン)へ飛びます。 ★=主な長編小説。 ★When Rain Clouds Gather New York: Simon & Shuster1969, London: Gollancz 1969 南アフリカ共和国にてジャーナリストとして働く青年マクハヤMakhayaが、日増しに厳しくなるアパルトヘイトを逃れてボツワナの農村に亡命。 英国から来た農村開発専門家とともに、農業・牧畜などの改善を通じて、やがてボツワナの農村を発展へと導いていく物語。 農村での厳しい生活、外国人と現地の人々の立場など、複雑な社会の様相が浮き彫りにされている。 ★Maru London: Gollancz, New York: MacCall1971, London: Heinemann 1972 ツワナ人が人口のほとんどを占めるボツワナ社会の中で、奴隷として使用されるなど差別を受けるマサルワ(当時使用されていた「ブッシュマン」のツワナ語での蔑称である。)の人々。 学校を経営する英国の女性宣教師に拾われ、彼女の元で育ったマーガレットMargaretは、そのマサルワのひとりである。 女性宣教師の「遺伝ではなく環境がすべてだ」の真理を証明する実験として、マサルワであるマーガレットは、ツワナ社会の「マサルワは何も考えない馬鹿だ」という偏見を覆すため、一流の教育を受けディレペ村で教壇に立つ。 やがて聡明な彼女に影響された人々の戸惑いの中、村の次期首長候補であるまるMaruとその友人モレカMolekaは彼女を愛してしまう。 当時、ボツワナの中で実際にあったツワナ人による「ブッシュマン」に対する差別意識をあからさまに描いたセンセーショナルな作品である。 ★A Question of Power London: Davis-Poynter, New York: Pantheon1973, London:Heinemann 1974 ヘッドの自伝的作品。南アフリカの精神病院で黒人の父親と白人の母親の間に誕生するカラードの娘エリザベスElizabeth。 13歳のとき孤児院の院長である宣教師に「あなたの本当の母親は狂人である。」と出生の秘密を告げられた彼女は、トラウマを抱えながら南アフリカに帰国を許さない出国許可証を持ち、ひとり息子とボツワナへ亡命する。 ボツワナの農村生活で孤独と貧困から精神を病み、やがて現実と幻想が彼女の中で交錯し始める。 善と悪の象徴、アパルトヘイトの悪夢、農村の実態などがエリザベスの悪夢となって彼女を苦しめ、カラードの彼女は自己のアイデンティティを問われることになる。 セロSelloとダンDanという二人の男の姿で描かれる決して二分できない善悪の「力の問題」を通して、南部アフリカ社会の現実を浮き彫りにしていく、非常に複雑で「型破り」な作品である。 A Collectors of Treasures London: Heinemann, Cape Town: David Philip 1977 ベッシー・ヘッドの短篇集。 ボツワナの農村に暮らす人々を、彼女独特の視点で描いている。 特に、短編集のタイトルにもなっている上記作品は、ものすごく深い。何度読んでも涙が出る。 Serowe: Village of the Rain-Wind Cape Town: David Philip, London: Heinemann1981 ベッシー・ヘッドが長年この本を書くために構想を練っていた、セロウェ村についての本。 後の大統領となったカーマ一族についてをはじめ、深く調べたセロウェの歴史や様々な職業のひとびとへのインタビューなどで成り立っている。 彼女自身、携わっていたセロウェ村の開発プログラム(職業訓練、農業生産など)についても、詳細に記載されている貴重な資料である。パトリック・ヴァン・レンズバーグによるSerowe Brigadeは、ボツワナ共和国の教育(職業訓練)の歴史をたどる上ではずせない重要な要素である。 A Bewitched Crossroad: An African Saga Johannesburg: Ad Donker1984 この本は、残念ながら絶版になっている。(アパルトヘイト下、南アフリカの出版社による出版だったという理由もある) ボツワナの歴史を10年以上にわたり調査したベッシー・ヘッドが、膨大な資料を基に描いた歴史小説。半分歴史書であり、半分小説である。この本を利用して、わたしは歴史認識とアイデンティティについて修士論文を書いた。 この本を手に入れるまで、結局3年以上かかってしまった。 Amazon.com(↓いちばん下のバナーをクリック!)でリクエストを出し、あるアメリカの古本屋でみつかったのである。ちなみに、ベッシー・ヘッドのサイン本だった。神様の贈り物だ! Tales of Tenderness and Power ed. By Gillian Stead Eilerson1989 Johannesburg: Ad Donker, Oxford: Heinemann 1990 A Woman Alone: Autobiographical Writings ed. By Craig MacKenzie: Oxford: Heinemann1990 Craig MacKenzie氏の編集による、ベッシー・ヘッドのエッセイ集。何せうつくしい。 A Gesture of Belonging: Letters from Bessie Head, 1965-1979 ed. By Randolph Vigne: London: SA Writers, Portsmouth: Heinemann, Johannesburg: Witwatersrand UP 1991 作家ベッシー・ヘッドは、22年間のボツワナ滞在の間、毎日のように長い手紙を書き、友人などに送っている。これは、そのうちRandolph Vigne氏が、自分宛にもらった手紙を集め、発表したもの。ときに、激しく他人を批判し、ときにうつくしく、ときに孤独なベッシー・ヘッドのことばから、彼女の生き様が見て取れる。タイプライターを打つ音まで聞こえてくるようだ。 (ちなみに、他の数千通にのぼる手紙は、セロウェ村のカーマ・メモリアル・ミュージアムに保管されている) The Cardinals: With Meditations and Short Stories ed. By M.J.Daymond Cape Town: David Philip 1993 <日本語訳>(念のため…) 『力の問題 』中村輝子訳 学芸書林 1993年 『マル―愛と友情の物語 』楠瀬佳子訳 学芸書林 1995年 『宝を集める人』酒井格訳 創樹社 1992年 『優しさと力の物語アフリカ文学叢書 』くぼたのぞみ訳 スリーエーネットワーク 1996年 <参考資料として…> Bessie Head - Thunder Behind Her Ears Bessie Head Biography by Gillian Stead Eilersen: Cape Town: David Philip, London: James Currey, Portsmouth NH: Heinemann 1995 デンマークの研究者Gillian Stead Eilersenによる、ベッシー・ヘッドの伝記。とてもわかりやすい。 |
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