<2001年2月発行サンプル>


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           あふりかくじらの

                  じゆうじかん
                                【0】

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 エディンバラの街並みが、午後三時の夕陽にくっきりと浮かび上がりはじめました。
永い歴史をおもわせる、ヨーロッパの古い石畳の街。
切り立った崖の上にある石造りの城。
そこから街の方向へ、古くなだらかな坂道が続いています。
この街へきて、もう五ヶ月ほどになりました。

 いま、スコットランドはエディンバラ大学のCentre of African Studiesにて
12ヶ月のMsc…修士コースをとっているのです。
そう、とうとうアフリカ研究のため、日本の外に出て本腰を入れはじめたのです。

 わたしがアフリカに出会ったのは、大学三年生のとき。
大学でたまたまアフリカ研究のゼミを取ったことがきっかけでした。
それまでまったく知りもしなかったアフリカのことを、はじめて探すようになり、
やがてあるひとりの作家に出会いました。南アフリカ出身のベッシー・ヘッド。
 こんなに遠い国のひとが、こんなに違った人生のひとのかいたものが、
これほどまでにわたしの心に直接訴えてくるということ。
それを知ってわたしの人生は変わりました。

南アフリカを訪ねました。
彼女の亡命した、南部アフリカのボツワナも訪ねました。
アパルトヘイト下の南アにカラードとして生まれ、彼女の生きた時代と
1986年の早過ぎた死。
彼女の生きたアフリカを、「故郷」のないわたしは、「故郷」のようだと思いました。

いま、彼女を知るために、そして彼女の描いたアフリカをもっともっと知るために、
こうして英国にきています。

英国にくることで、数え切れないぐらいの出会いがあり、チャンスがあり、筆舌に
尽くしがたい充実した日々。アフリカのことを考える日々。

大学院の勉強で考えたこと、感じたこと、そしてわたしの人生のたくさんの欠片を、
シェアしていきたい。そう思って、これをかきます。

これは、わたしからの手紙です。
一方通行ではない、ことばのやりとりです。

あなたからのことばを、待っています。


雪のやんだエディンバラにて…

            あふりかくじら

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